2026.09.13

現預金はいくらあれば安心?中小企業の資金繰りを税理士が解説

現預金はいくらあれば安心?中小企業の資金繰りを税理士が解説

現預金はいくらあれば安心?中小企業の資金繰りを税理士が解説

「会社の口座に、いくらお金を残しておけば安心なのか?」

「利益は出ているけれど、手元のお金がなかなか増えない」

「銀行から借りてでも、現預金を増やした方がいいのだろうか?」

中小企業の経営者から、このような相談を受けることがあります。

高松市・三木町・さぬき市など香川県内の中小企業でも、資金繰りは経営を続けるうえで非常に重要な問題です。

結論からいうと、「現預金がいくらあれば安心」という絶対的な金額はありません。

重要なのは、現在の現預金がいくらあるかだけではなく、今後、毎月いくら入ってきて、いくら出ていくのかを見ることです。

そのうえで、一般的な目安としては、

  • 月商1か月分未満 → 資金繰りに注意

  • 月商1~2か月分 → 会社によっては最低限の水準

  • 月商2~3か月分以上 → ある程度余裕を持ちやすい

と考えることができます。

ただし、これはあくまで目安です。

建設業、製造業、卸売業など、売上の入金よりも仕入・外注費などの支払いが先に発生する会社では、より多くの手元資金が必要になることがあります。

この記事では、税理士が資金繰りを見るときに、現預金の残高をどのように考えているのかを分かりやすく解説します。


そもそも「現預金が多い=安心」ではありません

まず、ここを勘違いしないことが大切です。

会社の預金残高が3,000万円あったとしても、

  • 来月1,000万円の支払いがある

  • 借入金の返済が毎月100万円ある

  • 3か月後に設備投資で1,500万円必要

  • 税金の支払いが500万円ある

という会社なら、3,000万円あるから安心とは言えません。

反対に、現預金が500万円しかなくても、

  • 毎月安定して売上が入る

  • 大きな設備投資の予定がない

  • 借入金の返済額が少ない

  • 固定費が小さい

という会社なら、資金繰りに余裕がある場合もあります。

つまり、現預金の「金額」だけではなく、今後の入出金との関係を見ることが重要です。


現預金はいくらあれば安心?まずは3つのラインで考える

中小企業の資金繰りを考える際、私はまず次の3つのラインで考えると分かりやすいと思います。

① 月商1か月分未満

この水準まで現預金が減っている場合は、注意が必要です。

例えば月商500万円の会社で、預金残高が300万円しかないとします。

一見すると300万円あるので「まだ大丈夫」と感じるかもしれません。

しかし、

  • 給料

  • 社会保険料

  • 外注費

  • 仕入代金

  • 借入金返済

  • 税金

  • 家賃

などを支払っていけば、短期間で現金が減る可能性があります。

さらに、売掛金の入金が遅れたり、設備が故障したりすると、資金繰りが一気に厳しくなります。

「預金残高が少なくなってから融資を考える」のでは遅い場合があります。


② 月商1~2か月分

中小企業にとって、一つの目安になる水準です。

例えば月商1,000万円なら、現預金1,000万円~2,000万円が一つの目安になります。

ただし、ここでも会社によって安全度は違います。

売上が入金されるまで2か月かかる会社と、売上がほぼその場で現金化される会社では、必要な運転資金が違うからです。

そのため、「月商の何か月分あるか」だけで安全性を判断しないことが重要です。


③ 月商2~3か月分以上

この水準まで手元資金を確保できると、経営上の選択肢が増えてきます。

例えば、

  • 新しい従業員を採用する

  • 設備投資をする

  • 新店舗を出す

  • 新しい事業を始める

  • 一時的な売上減少に対応する

といった判断もしやすくなります。

経営者にとって大きいのは、「今月の支払いができるか」という不安から離れて、将来の経営判断を考えられることです。


ただし「月商」だけで判断してはいけません

ここは非常に重要です。

例えば、

A社

月商1,000万円
現預金2,000万円

B社

月商1,000万円
現預金2,000万円

一見すると、どちらも同じです。

しかし、

A社は現金で売上が入り、固定費が200万円。

B社は売上の入金が2か月後で、毎月の人件費・外注費などの固定的な支出が700万円。

この2社では、必要な運転資金が全く違います。

したがって、税理士が資金繰りを見る場合には、現預金だけではなく、

  • 売上の入金サイト

  • 仕入・外注費の支払サイト

  • 毎月の人件費

  • 固定費

  • 借入金の返済額

  • 税金の支払額

  • 設備投資の予定

  • 今後の売上見込み

などを確認します。


税理士が見る「本当の安全ライン」

では、どうやって自社の安全ラインを考えればいいのでしょうか。

私は、「固定費」と「今後の資金繰り」を見ることが重要だと考えています。

例えば、毎月の固定的な支出が500万円ある会社なら3か月分で

500万円 × 3か月 = 1,500万円です。

ここに、

  • 借入金返済

  • 納税

  • 賞与

  • 設備投資

  • 大型案件の先行支出

などを加えて考えます。

そのため、

「自社の場合、現預金はいくらあれば安心なのか?」という質問には、会社ごとに答えが違います。

これが実際の資金繰りを見るうえで大切な考え方です。


利益が出ているのに現預金が増えないのはなぜ?

「毎年黒字なのに、預金残高が全然増えない」という会社も珍しくありません。

その理由として、例えば次のようなものがあります。

借入金の元本を返済している

借入金の元本返済は、会計上の経費ではありません。

そのため、

利益は出ている
↓
しかし借入金の元本を返済する
↓
現預金は減る

ということが起こります。

設備投資をしている

1,000万円の機械を購入しても、会計上は減価償却によって複数年にわたって費用になります。

しかし、購入時には1,000万円の現金が出ていきます。

売掛金が増えている

売上は計上されているものの、まだ入金されていない場合、利益と現金の増加にはズレが生じます。

特に売上が急激に伸びている会社では注意が必要です。


「借入をして現預金を増やす」のは悪いこと?

これは経営者からよく聞かれる質問です。

結論として、借入によって手元資金を厚くしておくこと自体は、悪いことではありません。

むしろ、資金がなくなってから借りるより、資金に余裕があるうちに計画的に借りるという考え方もあります。

例えば、

「半年後に設備投資を予定している」

「売上が増えて運転資金が必要になる」

「新しく従業員を採用する」

といった予定があるのであれば、早めに資金計画を作っておくことが重要です。

ただし、「銀行が貸してくれるから借りる」という考え方ではありません。

重要なのは、なぜ借りるのか、いくら必要なのか、借りた後にどう返済するのか

を説明できることです。


資金繰りで一番怖いのは「資金がなくなる直前に気付くこと」

資金繰りで重要なのは、現在の預金残高だけではありません。

例えば、現在の預金残高:1,500万円だったとしても、

3か月後:900万円
6か月後:400万円
8か月後:△100万円

という予測なら、今の段階で対策を考える必要があります。

逆に、現在の預金残高:800万円でも、

3か月後:1,000万円
6か月後:1,300万円

という見込みなら、状況は全く違います。

だからこそ、「今いくらあるか」ではなく、「この先いくら残るのか」を見ることが資金繰りでは重要です。


経営者が毎月確認したい5つの数字

資金繰りが気になる場合、まず次の数字を確認してみてください。

① 現在の現預金残高

今、会社にいくらお金があるのか。

② 毎月の固定的な支出

人件費、家賃、リース料など、毎月出ていくお金はいくらなのか。

③ 借入金の年間返済額

毎年どれだけ元本を返済しているのか。

④ 今後の大きな支出

設備投資、採用、賞与、納税などの予定。

⑤ 3~12か月後の現預金残高

今後、預金残高がどのように変化するのか。

この5つを見るだけでも、会社の資金状態はかなり把握できます。


資金繰り表を作ると「いつ危ないのか」が分かる

資金繰りを確認するために有効なのが、資金繰り表です。

資金繰り表では、

  • 現在の現預金

  • 売上の入金

  • 仕入・外注費

  • 人件費

  • その他経費

  • 借入金の入金

  • 借入金の返済

  • 税金

  • 設備投資

などを時系列で整理します。

すると、「今は問題ないが、4か月後に資金が不足する」といったことが分かります。

これが分かれば、資金がなくなる前に、

  • 融資を検討する

  • 設備投資の時期を変更する

  • 支払条件を見直す

  • 売掛金の回収状況を確認する

  • 経費を見直す

などの対応を考えられます。


まとめ|現預金はいくらあれば安心なのか

「現預金はいくらあれば安心ですか?」

という質問に対して、単純に「月商○か月分」と答えることはできません。

一般的な目安として、

現預金

考え方

月商1か月分未満

資金繰りを要注意

月商1~2か月分

一つの最低ライン

月商2~3か月分以上

余裕を持ちやすい

固定費3~6か月分

安全性を見る別の目安

と考えることはできます。

しかし、本当に重要なのは、「自社では、いつ、いくらのお金が必要になるのか」

です。

現在の預金残高だけを見ても、会社の資金繰りは判断できません。

現在の現預金+今後の入金+今後の支出+借入金返済

まで確認して、初めて「自社に必要な現預金」が見えてきます。


高松市・三木町・さぬき市で資金繰りについて相談できる税理士をお探しの方へ

谷口亮輔税理士事務所では、決算書を作成して終わりではなく、会社のお金が今後どうなるのかを経営者と一緒に確認することを大切にしています。

例えば、「今の預金残高で大丈夫なのか」「設備投資をしても資金は足りるのか」「従業員を採用しても大丈夫なのか」「銀行から借りた方がいいのか」「融資を受けるなら、いつ相談すればいいのか」といったご相談にも対応しています。

必要に応じて、

  • 月次試算表の確認

  • 資金繰り表の作成

  • 今後の資金繰り予測

  • 借入金の整理

  • 融資に必要な資料の整理

  • 金融機関への説明準備

  • 金融機関との面談への同席

などをサポートします。

「お金がなくなってから相談する」のではなく、「まだ大丈夫なうちに相談する」。

これが資金繰りでは非常に重要です。

高松市・三木町・さぬき市を中心に、香川県内の中小企業の経営者の方で、

「自社には現預金がいくら必要なのか知りたい」

「今後の資金繰りを一度整理したい」

という方は、お気軽にご相談ください。

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